食事中の方は読まないほうがいいです。
本日、俺は足がくさかったです。
俺は、世界中に向けて生きててごめんなさいと謝罪をしなければならないくらい、足がくさいです。いくら強調しても表現できない、というくらいに足がくさいのです。なんかの病気なのか?と聞かれたら「はい。足がくさい病です」と答えるしかないくらい足がくさいのです。
以前にも書きましたが、俺とまゆみさんは、スーパーの惣菜コーナーでてきとーにおかずを買って、車のなかでくつろぎながらごはんを食べるのがけっこう好きです。大型スーパーというと混雑しているイメージがありますが、平日の昼間ともなると、上層階のほうはほとんどがら空きなので、変な人たちが車のなかで惣菜パーティーを開いていたところで別にとがめられることもないのです。
俺の車は、スバルサンバーという軽貨物車です。名前はサンバーたんです。貨物というと安い印象があるのですが、スバルサンバーのそもそもの価格設定が高いうえに、貨物車というのは想像よりは安くないのです。同じ予算で快適装備満載の居住性の高い軽を買うことは可能だったのですが、貨物車の場合、後部座席を完全フラットにできるのです。貨物を積むためにできてるのだからあたりまえなんですが。
子供のころから、車のなかを部屋のようにして使いたいという願いがあった俺にとって「完全フルフラット」は外せない条件のひとつでした。
そんなわけで、サンバーたんの後部座席にはじゅうたんがひかれていて、布団なんかもあって、そこでごはんを食べつつのんびりすることもできる、というわけです。
今日も「GOSICK」という小説を買いに行った帰り道、スーパーで惣菜買って車内で食おうと思ったのですが、俺は気づいてしまいました。
「ごめんなさいまゆみさん。今日は車のなかでごはんを食べれません」
「なんで?」
「なぜなら俺の足はくさいからです」
まゆみさんは、俺がすべてのセリフを言い終わらないうちに断言しました。
「やめよう。死にたくない」
車のなかに悲痛な沈黙が満ちました。
やがてまゆみさんは、静かに、やがて徐々に激しく、よくわからない実況中継を始めました。以下は、ほぼその内容を再録したものです。
「おまえ、ついうっかり、で自分の妻を殺していいと思ってるのか。自分の足のにおいに自覚がないとは言わせない。自分の妻にぜんそくがあることを知りながら、靴を脱ぐ。明確な殺意の表れだろう。それを未必の故意というんだ。わかってるのか!」
どうやらまゆみさんは俺の足のにおいで死んでしまったらしいです。
そして俺は警察で取調べを受けているらしい。
「すみません。うっかり。ついうっかり」
「うっかりで済むなら警察はいらないんだ。わかってるのか!」
次は、舞台は変わってテレビかなんからしいです。
「容疑者がオーナーをやっていたコンビニのパートの方に話をうかがいました」
リポーターの声。
そしてそれに答えるパートの人。
「すごいにおいだったのよねえ。靴の上からでもわかるのよ。でもねえ、オーナーでしょ? やっぱり私も言えなくてねえ。奥さんも同じだったんじゃないかしら? 苦労してたんじゃないかしらねえ……」
「容疑者の想像を絶する足のにおいと、無神経ぶりがうかがえます。次に、容疑者が飼っていたうさぎのでかすけちゃんに聞いてみました」
クローズアップされる、ネザーランドドワーフに似ているよくわからない雑種のうさぎ。言葉に、変な英語訛り(本人は「うさぎ訛り」だと言い張っている)がついている。
「えむけーつーさんの足はひっどいでーす。くっさいでーす。でかすけちゃんはきれい好きなのに家を掃除してくれませーん。もっとひどいのはそのくっさい足をでかすけちゃんの家に押し付けることでーす。ひどいでーす。死んでいいでーす。あとペレットくださーい」
リポーター、声を潜めて、
「容疑者の歪んだ人格と、自堕落な生活がうかがえます」
こんな感じでまゆみさんはえんえんと実況中継を続けました。
そこまで俺の足は凶器だったんでしょうか。
で、まったく関係ないのですが「まゆみさんになんか本を読ませよう月間」がスタートしました。読ませよう第一弾は、くわねさんがおすすめしてくれた箒木なんとかって人の「薔薇窓」です。まゆみさんは小説を読むにあたって構成マニアというわりと変わった人種なんですが、その前提に立ったセレクトです。
今後、まゆみさんにいろんな本を読んでもらって感想を言ってもらい、それをここに書いていく予定です。次の作品は桜庭一樹の「GOSICK」です。
「エロゲのなにがむかつくって、必ず幼なじみがいることだよ。そんな仲のいい幼なじみいねえよ! てゆうかそもそもそんなに幼なじみいねえよ!」と変に憤っているまゆみさんに、あえてありえなさげなセレクトでおすすめするというのも考えてます。護くんに女神の花束をとかゼロの使い魔とか(自爆)。
構成マニアで、女の子の好みがやかましくて、文章が簡潔で上手でないと「読めない」の一言で切って捨てるような人に、あえておすすめしてみたい作品があれば、コメントとか書いていただけると嬉しいです。いまのところ、西尾維新と秋山瑞人がだめなことはわかってます。西尾維新は「(ストーリーにとって)意味ない文章ばっかり。これ3分の1でいいじゃん」という理由でだめで、秋山瑞人は「語りすぎで鬱陶しい」という理由でだめです。
俺としては「僕は妹に恋をする」でも読ませて、まゆみさんのキレっぷりを鑑賞したいです。
あと「まゆみさんにエロゲやらせよう月間」とかもあります。てゆうか同時並行開催中です。ら~じPONPONとかはすすめないです!(てゆうかすでにふつうに入手困難じゃね?)
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