店のバイトの男子高校生がものすごくしゃべります。しかも自分の話ばかりです。あれはもてない、ということで店の女子高生の意見はかたまっているようです。
そこでまゆみさんと「もてる男」の条件について考えてみました。
外見を重視するのは低年齢になるほどそうだと思います。高校生くらいでもまだそうでしょうか。ただ外見ってのはどうにもならない部分があるし、あとは努力で補える部分がかなり大きいんで、これは除外しておきます。人間は外見重要なのはまちがいないんですが、それはたとえば達成すべき基準値というやつで、これは万人がほぼ努力で達成可能なものだと思われます。
え「だからさー、俺が思うにやっぱ人に秀でた部分っていうか、その人しかできないことってのは重要だと思うんだよね。あと自信みたいなのか。なんにせよこう、突き抜けてる感じみたいなのが重要なんじゃねえかと思うわけよ。んで、腰が座ってる感じな」
ま「いや、だけどさ、ダメ男好きってのもいるよ、世のなかには」
ここでまゆみさんは、例として、店の夜勤の人で、38歳で親元で暮らしている男の人のことをあげました。その人は、まじめだけがとりえで、そして自分のことを病弱で情けない男だと思ってて、それでずっと母親に育てられたせいか、どことなくおっさんというよりおばちゃんの雰囲気がするような人です。
え「いやいやいや、あれは違うだろー。あれは……ほら、もてるダメ男の必須条件ってのがあるじゃん」
ま「なによ」
え「俺、おまえがいなきゃだめなんだよ、って真顔で言えるってやつ」
「あはははははは(爆笑してる)。そりゃだめだ。○○さん(その店の夜勤の人)だと、俺だめなんだよ、だけで終わっちゃいそう」
中略するだけでひどい意味の変更が達成されました。
「そうなんだよ。あの人が自分のことをダメっていうとき、別に女の人は必要としてないでしょう」
「あーあーわかる。あの人ってさ、女の人に言われそうだよね。あんた私がいてもいなくてもダメじゃん、とか」
まゆみさん絶好調です。ひどいにもほどがあります。
この会話はこのへんで終わったんですが、確かにこうやって考えてみると、女にもてやすい男とそうでない男というのはいるんじゃないか、という気がします。ただこれって狙ったところでおかしなくさみみたいなのが出てきて、結局見抜かれて終わるだけだと思うわけなんですが。マニュアル本とかいうのが結局役に立たないのは「ためにする」ものである以上、原理的に無駄な努力は必ず見抜かれることになってるから、じゃないでしょうか。もっとも「そうした努力そのものがいじらしい」という見方も存在する可能性があるわけで、一概には言えないですが。
まず、これはまゆみさんの絶対の持論なんですが「女よりしゃべる男はだめ」。しゃべることが場の雰囲気を盛り上げるためとか、女を楽しませるため、とかいう限りにおいてはまあアリなんだけど、自分のことばかりを話す男はろくなもんじゃない、と。聞き上手の話し上手なら問題ないんじゃないかな、などと申しております。初っ端から相当の難題を吹っかけてます。もっとも俺が思うに、話し上手ってのは、最初っからその概念のなかに「聞き上手」の部分を含んでるような気がしてしかたないです。たとえいくら人を笑わせることに長けていたとしても、人間関係ってのは一人でやるものじゃない以上、いつまでも独演会してたってしかたないわけです。別に芸人と観客じゃない。結局会話というけれども、そこで求められているのは「あなたとここに一緒にいることが楽しいよ」と伝えるのが主目的であって、よく言われるような会話術とかそんなもんは必ずしも必須じゃないんでしょう。つーか場合によっては邪魔なだけ。これはほぼすべての女性に当てはまるんじゃないでしょうか。実のところ相手が男だって話はそう変わらなくて、人に好かれやすい傾向を持つ人って、例外なく聞き上手なんじゃないだろうか。
次に、これは相手によってずいぶんと話は変わるんですが、一般的な女性に対しては効果があると思われるのが「あなたの存在を尊重している」ような態度。これも思いっきり要約してしまえば「あなたがここに存在していることが嬉しい」になってしまうんですが。ただこれって、相手の女が「自分の存在はそれだけで価値がある」と思ってる場合限定でしょう。女の人が「自分はこれだけのことができる人間なのだ」というプライドを持っている場合は、まったく話が逆になってしまう。
あとは男の側の問題として、実力に裏打ちされたプライドを持ってることですかね。いや、なんでもいいんだけど、とにかく突き抜けてること。青空に向かって「俺っていまこんなんだぜ!」とか絶叫できる一種の頭の悪さ。人間性に曇りがないことでしょうか。実力に裏打ちされたプライドを持っている人間は、それを軸に「崩れない個」みたいなのを持ってます。スポーツやってる人間がもてがちなのは、こうしたものを持っているような幻想を与えることができるからじゃないでしょうか。まあ、基本正直なほうがいいですわね。よく男の色気なんてことを言いますが、肉体的なことを別とすれば(それもまあ努力次第っていえばいえるんだけど、足の長さとかどうしようもないしねえ……)、こうした揺らがない個が崩れそうになる瞬間のことをいうんじゃないだろうか。あるいはそれにもかかわらず揺らがない、みたいな。あるいは絶対に揺らがない強さ、とか。どっちにしても「揺らぐ」というあたりに大きくかかってるような気はします。
あとは……そうだな。その男が、相手の女の人を選んだことに確固たる必然性があるように感じさせてあげられること。「おまえがいなきゃだめなんだ」は、完全にこれの類型です。相手の存在を尊重するってのと通底してると思いますけど、女の人が活躍する場所を与える、ということですね。つまり「私がついてなきゃだめなんだから……」です。
と、まあ、話をわかりやすくするためにあえて類型的に書いてみました。でもいまの若い世代だと、いろんなところがどーぶつっぽくなってるので、即物的なオスとしての性能に引き寄せられるような雰囲気はうかがえます。それもまあ、いいとこ20歳くらいまでなんじゃないかと思いますけど。将来のこと考えないとだめですから。もっとも、それに気づけないままずっと「オス幻想」みたいなのを追っかけるメスっぽい女の人がけっこういるのも確かなようですけど。
あーなんかこの話題飽きてきた。そんな感じ。終わり。
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