またもやずいぶん久しぶりになってしまった。
なんてことはない、日記を書くということを忘れていたのだ。
日常を記す、といっても店に行って納品を片付け、売り場を整え発注をする。
時間にして3~5時間といったところか。
土曜夜はシフトがあるから8時間+ちょっと。火曜は新商品があるから12時間。
仕事帰りにMK2とご飯食べに行ったり買い物行ったり。
変わり映えしない。あまりに変わらなさ過ぎる。
考えたことを書くというのも難しい。俺はあまり言葉では物事を考えない。正確には言葉が考える速度に追いつかない。だから結論が出たころには考えた過程を忘れてしまう。いちいち覚えていられない。
考えながら書くというのもうまくない。言葉にしようとしているうちに、なにを考えているのかわからなくなってしまう。
これではここに書きようがないというものだ。
なにを書いてもいい、というのもいただけない。
つまりは言い訳なのだが。
MK2がなにやら俺についていろいろと書いている。俺って何様なんだろうと他人ごとのように思ってしまう。それはともかく。
書かれている内容に不満がある。それをMK2に伝えたら、だったら同じテーマで自分も書けばいいんじゃないか、と言われた。俺としてもテーマがあるほうが書きやすい。
早速書いてみることにする。
「タバコ」
俺の親父はチェーンスモーカー。現在は新築の家に越し、全面的に禁煙にされたらしく玄関先に灰皿を置いてそこで吸っているようで、以前ほどは吸わなくなったのではないかと思う。同居していないから細かくはわからない。俺がまだ実家にいたころは一日2箱くらいは吸っていたんじゃないだろうか。家でだらだら過ごしてる間、煙が絶えることのほうが少ないくらいいつも吸っていた。
もう亡くなってしまったが、祖母もスモーカーだった。親父とは違い、息抜きや気分転換を兼ねてのものだったようで、あまり喫煙を目にすることはなかった。世代のせいもあり、男性の前では決して吸わなかったし、外出時も携帯してなかった。俺は祖母がタバコを吸う姿がけっこう好きだった。亡くなる数ヶ月前からタバコを吸うことがなくなり、少しだけさみしく思ったものだ。
俺がタバコを吸い始めたのは19。それまで吸ったことはないし、吸いたいとも思わなかった。そもそもタバコが嫌いだった。アレルギーという体質のせいだ。煙が気管支と鼻に良くない。そばで吸われると息苦しくなる。それは今でも変わらないが。
だから俺にとってタバコは全くもって不要なものであった。
喫煙のきっかけ。
当時、付き合っていた彼氏がいた。うまくいってなかった。別れるのも時間の問題というかほとんど別れていた。未来なんて考えてなかったし、考えられなかった。多少は沈みはしたものの、別れるのは自然な流れでもあった。
そいつはタバコを吸う。男は吸ってもいいが、女が吸うのは認めない。付き合ってる彼女が吸ったら即別れる、そう言っていた。俺自身、吸う気がなかったから内容はどうでもよかったが、男だから女だからというのには腹が立っていた。男も女も関係ない、せめて自分がタバコやめてから言えと常々思っていた。
どうせ別れるのだ、もうお前の彼女ではなくなるのだ。だったら吸ってやろう。
誰のためにもならないささやかな仕返し。ほんの少しの好奇心。
俺は吸えないと信じて疑ったことがなかったから、試したこともなかった。吸えるかどうかはわからない。でも吸ってやる、と半ば意地で吸ってみた。なにかの時に預かったままのキャビンマイルド。
あれはもう11年前になるが、今でもよく覚えている。
吸えた。むせずに煙を吐き出せた。驚いた。なんだ、普通に吸えるんじゃないか。心の底から意外だった。決して味わえるような代物ではなかったが。
ただ、その後が困った。煙を吐いても吐いてもまだ、肺に残っているような感じがしてならない。目に見える息は透明なのに肺の中の煙が出て行かない。無理に息を吐き出し続けたから喘息が出てきてしまったほどだ。その後も不快感はなかなか消えなかったが吸えたことに満足した。
それから一日数本程度吸い続けているうちに不快感はなくなっていった。その後、そいつとは別れたが、細かいことはもう忘れてしまった。喫煙だけが俺に残ったというわけだ。
自分で初めて買ったタバコはなんだっただろうか。マルボロライトメンソールだったような気がする。友達のすすめだった。半年くらい、いろいろ吸った。以降はこれと決めた銘柄のみになった。メンソールは口に合わなかったから、マルボロやラッキー、セブンスターがけっこう長かった。もう3年くらいマルボロBOX一筋だ。香りが強くなく、クセがあまりないところがいい。
タバコを吸い始めて喘息は悪化した。それまでは風邪をひいたときと持久走などの長時間呼吸器に負担のかかる運動をしたとき以外、発作は出なかったのだが、頻繁に息苦しさを感じるようになった。
一度だけ喘息で入院したことがある。今晩様子をみて、明日には帰れるでしょうと医師が言うから泊まったのが運の尽き。なぜか二週間もお世話になった。それ以降、泊まっていく?と聞かれても断ることにしている。要はそこまで身体に負担をかけないような喫煙をすればいいのだ。
今のところタバコをやめる意志はない。身体に悪い、喘息に良くない、そんなことは百も承知だ。そこまで自分の身体がわからないわけではない。
やめない理由。どこれもこれも言い訳と言われればそれまでだが、俺なりにある。
まず。タバコが好き。喫煙という行為自体が好きだからだ。なによりもこれがでかい。
次に。他人のタバコの煙が嫌だからだ。自分の煙で誤魔化すというか、自分も吸ってしまえば多少はマシになる。
そして。今は結婚してるからあまり関係ないかもしれないが、独りのころはいろいろ言われたものだ。俺はあまり娯楽というものに興味がない。テレビはほとんど見ない、雑誌も読まない。化粧はしないし小物も服もどうでもいい。飲酒なんて言語道断だし、ギャンブルは一切やらない。ゲーセンも行かないし夜遊びもしなければ男に興味もない。カラオケは大好きだが。他人には俺がなにを楽しみに生きているのか理解できなかったらしい。大きなお世話だ。俺がなにに楽しみを見出そうと関係ないだろうと思うのだがかなりうるさい。それでもなぜかタバコは吸うと言うと少しは納得した顔をする。そもそもタバコは娯楽とは違うと思うのだが、うるさく言われないのだから俺にとってはありがたい。だから今でも娯楽は?と聞かれれば喫煙と答えるようにしている。
そんなこんなで俺はまだ、タバコをやめない。
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