過日、コンビニの駐車場でスクーターにこすってしまい、その修理代を直接バイク屋に払いに行くはめになった。指定されたバイク屋に行くと、休み。自業自得とはいえ、ただでさえおもしろくない用事を済ましに行って空振り。今日が返却期限のビデオを返しに行ったらビデオ屋が休み、みたいな理不尽な怒りを覚えつつ、ヤケでカレー食いにいくことにした。
カレーを食ってから、かなり車を走らせて、京急長沢駅に行ってきた。別になんの用事もない。
私見だが、京急長沢駅近辺は、新興住宅街(またはニュータウン)マニアにとってなかなかいい場所だと思う。はたして俺以外にそんな人種がいるのか。団地マニアだっているのだ。新興住宅街マニアがいてもいい。
新興住宅街の評価基準はいくつかあると思う。いや、極端にニッチな趣味だから、ひょっとしたらその趣味を持つ人だけの評価基準があるのかもしれない。俺が思いつく基準としては、
・新しさ
・家並み
・地形
・周辺の旧来の市街地、ないし原野、畑などとの接続具合
・商店街の有無
・公園の存在
などを挙げてみる。
俺はこのうち、地形と周辺との接続などがメインとなっているマニアだ。こうやってまじめに書いてるとまるでバカだが。
京急長沢駅近辺は、新興住宅街としてはやや特殊だ。立地としては、海に近い。このあたりの京急線は、三浦海岸、国道134号線などと併走しており、とうぜんながら駅も海からほど遠くないところにある。このへんは憶測になるが、おそらくは電車の開通前から漁村のようなかたちで集落があったのだと思う。私鉄が路線を開通すれば、そこにはニュータウンを作るのが通常の流れだ。京急もそうしたのだと思うが、なにせ地形がまずかった。
半島地形は、海から急に立ち上がる崖のような斜面をもって特徴となす。長沢駅もごたぶんにもれず複雑に入り組んだ丘陵のただなかに、肩身の狭い思いで、ひっそりとトンネルとトンネルのあいだに位置することになった。そして椀の底の駅をとりまいて、すり鉢状におもちゃのような色とりどりの家が建ち並ぶことになったのだ。
世のなかには、新興住宅街マニア、団地マニア、工場マニアなどとは別の町マニアとして、斜面派というのが存在すると思う。長崎、尾道と聞いた瞬間、体が熱くなって……というあなただ。変態としてもきわめて特殊な感じだ。
駅前のわずかな面積の広場から、線路沿いの道路を歩く。電車はトンネルに入っていくが、道路はそのまま山を上る急斜面となる。歩くほどに駅のホームが眼下に小さくなる。妙な感覚だ。
上りきると、ちょうどその場所がトンネルの真上になる。足元の暗い穴から出入りする電車を眺める、というちょっと珍しい風景となる。その場所からは、駅近辺の地形を見渡すことができる。斜面に背の低い団地がざくざくと数本突き刺さっているのが景観のメインで、そこから駅への下り斜面を、建売住宅が埋め尽くしている。海側の低地まで目をやると、昔からの木造の茶けた集落があって、その向こうに海と、さらに向こうに春霞にけぶった房総半島が見える。早春というにはのんびりしすぎた空気があたりを覆っていた。
パノラマというには視界の制約が厳しすぎる。しかし、なんとも気持ちのいいちょうど「手ごろなサイズ」の景色だった。
駅前に、ショッピングモールというには少し無理のある、シャッターが目立つ一角があった。手書きのポップが手作り感と貧乏くささの中間くらいのものを感じさせるパン屋があった。まゆみさんへのおみやげとして、クロワッサンを3個とフランスパンを1本買った。俺の前にレジにいた人が「この店のパン全部買うたるわ!」的な勢いでものすごい数のパンを買っていたので、15分くらい待たされた。
金網越しにずっと景色を見ていたら、金網がずっと立体視になっていたらしく、いま、気持ち悪いです。焦点がうまく合わない。
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